受験に必要なこと不要なこと

私も暗記を重視しない方ですが、ただ定義はきちんと理解させることだけは、絶対に暗記と考えています。何しろ、定義の類は理解ではなく、そう信じることが大切ですから・・・

定義は、そう定まっていることになっている奴ですから、覚えるか体感して納得するしかないと思うわけです。

たとえば、食塩水の濃さなどは、割合の第一用法が、濃さの定義に当たるわけです。食塩水全体に対する食塩の重さの割合を百分率で表したものを食塩水の濃さとする。というわけですね。

この定義から始まり、これから派生する問題を考えるということになるわけです。したがって、食塩水の濃さはこのように表せる!このように表せることから、15%の食塩水を100g作りたいとかの欲求が現れるとなるわけですからね。

しかし、定義そのものを教えずに、算数を教えることは可能です。算数ではなく算術とか算法の世界です。そこでは、理由は必要とせず、このように計算すれば正解が出るという、ちょっと不思議な世界です。

私にとっては、意味を持たない学習の領域に近くなるのでなるべく、術の世界には入らないようにしたいのですが、入試というものを考えるとき、最後には術を教えることがあります。

それは・・・受験屋ですが、まずは真っ当な解き方と手順を教えます。これが小5の段階ですね。小5のうちは技や術の類は教えずに、小6の今頃・・・9月過ぎに、どうしても計算の手順が理解できない場合には術を教えます。理由は単純で、術を覚えると、それは楽ですから、それ以上のことはしなくなります。

まあ、中学に入れば、式を立てなければいけませんから、いずれにせよ、その術は無用の長物になるので教える必要がなければ教えなくて済ませたいわけです。何しろ、中学の先生たちも、そういった術を破る手段を心得て来ているようですからね。

このような割合系の計算問題に対する術は、ずっと以前、受験ブームがやってきたとき、本来は受験に対応するだけの小数・分数の計算能力が欠ける生徒のために、速習という意味合いで割合系の問題の中で培われ、整数計算の範囲にするために導入されてきたという経緯があります。

従って、禁断の技に近いんですね。この手の技の簡単な封じ手は、最初は整数で計算できるが、途中から小数や分数になってしまうようにすることです。力のない生徒は、整数での計算が金科玉条として技を習いますから、小数や分数が表れてくると、その時点で諦めてくれます。

中学入試の問題を作る中学の先生が望む生徒は・・・たぶん、小数・分数計算ができ、割合の基本公式を覚えている生徒であるとするなら、ちょっと高度な理数系の教育を目指すところでは、そういった問題になるということになります。

一生懸命覚えた技も、中学では通用しないのですから・・・通用するのは、論理的に組み立てられた式とその式を完結させる計算力ですから。

まあ、そんなことを考えるために、公式を中心とした反復練習を行わせ、基本公式を利用するための本文の読み方を指導するパターンになるわけです。

しかし、近頃の受験界では、安易な技な習得に終始している感じですから、このような公式の理解を元にした学習は流行らないのかもしれません。

それでも、基本がわかっているかどうかは、重要なんですがね・・・まあ、その文化の保存のために、計算問題系のやつを量産してやろうかな・・・・なんって思うわけです。
2007.09.19

  

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