きわめて優秀な教材を眺めながら・・・

このところ、古い教材を眺めています。今では学研に吸収された塾の、昔の小4用の教材です。今から多分15年ほど前まで使われていたかな?そんな昔の教材です。

この教材が使われなくなった理由は単純でした。小4で4教科のコースが始まり、それによって大掛かりに教材が変化したためでした。

バブル期に、多くの進学塾が小4を囲い込むことに積極的になった時代になる以前の物ですね。当時、この教材を使っていた塾は、開成に最も近い塾と呼ばれていました。実際、道を隔てて隣で、実績として1980年台の終わりには、開成の合格者の3分の1ほどを占めていました。

おかげで香港やら台湾への社員旅行がありましたね。お受験ブームの頃がちょっと懐かしい気もします。合宿特訓、正月特訓、TVの取材もずいぶんと来ました。確かドラマも作られましたっけ・・・この頃は私も駆け出しでしたっけ・・・・昔の話です。

一回だけ、5秒ほど私の授業風景も全国ネットで流れましたっけ・・・確か、1996年ごろですかね?最近は、2006年6月銭金で・・・貧乏さんを支援している方で・・・私の海岸の小屋が登場しましたがね。

まあ、私自身がTVで放送で流れたのは・・・開成前での正月のシュプレヒコールと、合宿特訓での誘導での誘導姿と、先ほどの授業風景ですかね?

あの狂気ともいえる時代は面白かった気がします。

さて、この旧時代の教材は、作成したのは多分、学芸大附属・小中の先生たちだと思いますが・・・非常に堅いつくりです。小数の割り算の計算などは正統的・・・現在の小数点のつけ方の説明的なものではなく正規表記のもので書かれています。

この教材を眺めていると、国立小中の教育現場の理想と塾の資本の共同作業が見えるような気がします。確かに、この41から46・51から56・61から66の18段階、1年半の教材の美しい構成は今見ると感動的ですらあります。

当時は、この解説で苦労しましたが、私の今の基礎を作ってくれた算数の教材なのかも知れないなんってちょっと思いますね。

この教材、リニューアルして塾で使えば・・・まあ、あまり人気のある塾にはならないような気もしますが、きわめて優秀な教材だと思うのですが・・・

さて、過去のものを賞賛しても仕方ありません。まあ、この教材を思想を引き継いでリニューアルして作成することも可能ですが・・・進級テストも一揃いありますから・・・

それより、気になるのは通信教育も含めて、近頃の小4の算数のカリキュラムは、受験への先取りを重視して非常に盛りだくさんな内容を、小4に詰め込んでいるような気がするというわけです。

まあ、私も、理科の教材の執筆者として仕事をしますが・・・ここまで、小4で必要なのか?なんって内容が盛り込まれています。

確かに、子供は鍛えれば、それなりに適性を持った子は応えてくれます。ただ、本当のきちんとした基礎を身につけているかどうかで、その将来がずいぶんと違ってくるような気もします。

基礎を身につけた上での高度な理解と、基礎はないけど、解き方は覚えた高度な解法との差ですかね?

今、見ている高度に基本的な教材・・・これで、正しく学んだ生徒は・・・日本を動かす力を持っているのでは?なんってね。

しかし、この教材を正しく教えられる塾教師がどれくらいいたのだろうな?なんって、ふと思ってしまいました。あの頃、私はちゃんと教えられたのだろうか?生徒を使って、自分が学んでいたのか?なんて、ふと思ったわけです。
 2007.03.27

  

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