真空鈴の実験
 音は真空に近い空間では伝わりにくくなることを確認する実験です。この実験は水が水蒸気になるとき体積が非常に大きくなることと、その水蒸気を冷やすと水になり体積が非常に小さくなることを利用して、フラスコ内を真空に近づけるものです。
実験の手順は次のようになります。
 右のような水の入った丸底フラスコに、ガラス管を通し、針金の先に鈴をつけたものをガラス管にふれないように取り付けたたゴム栓をつけます。これにゴム管とピンチコックをつけます。このときピンチコックは開いておきます。次に、この装置を加熱し、中の水を沸騰させます。
 このように沸騰させることで、フラスコ内の空気は水蒸気で押し出され、中は水蒸気でいっぱいになります。そして、火を止め、ピンチコックを閉じます。このとき火を止めずにピンチコックを閉じると、ゴム栓が吹き飛んだり、フラスコが爆発したりして非常に危険です。
 しばらく放置して、フラスコが冷えるのを待ちます。すると、中の水蒸気は冷えて水に戻ります。そして、フラスコ内は真空に近くなっていきます。
 充分にフラスコが冷えたらフラスコを振って鈴の音を確かめます。すると鈴の音は非常に小さくなっていることに気付きます。この実験ではフラスコ内を真空にすることはできませんし、針金を伝わる鈴の振動も完全に排除できないので、弱いながらも鈴の音が聞こえます。
 次に、ピンチコックを開き、中に空気を入れます。そして、空気が入ったらピンチコックを閉じ、再びフラスコを振り鈴の音を確かめます。すると、さっきとは違って、今度は、はっきりと鈴の音を聞くことができます。
 この実験で、加熱前に鈴の音を確かめ、そして加熱後の真空に近い時の鈴の音を比較したのでは良い比較実験とはいえません。それは、鈴に水滴が付着したりして鈴の音が出にくくなったり、高温の影響などがあるかも知れないなど、実験条件に違いが出る可能性を秘めているからです。
 しかし、フラスコ内が真空に近くなったことを確認するために、ゴム管の先を水槽などの水面につけて、ピンチコックを開くことで、フラスコの中が真空に近くなったことを確認することもありますから、先に鈴の音を確認するのもあながち間違いとはいえませんから注意が必要です。

  

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