物質が水に溶ける量
水に固体を溶かすには
 水に固体を溶かすとき、早くたくさんとかしたい場合があります。そのときには、良くかき混ぜる、細かな粒のものを溶かす、水温を高くする(例外があります)、水の量を増やすなどの方法があります。
 良くかき混ぜると早く溶けるのは、固体が水に溶けていく時には、溶けていく固体のまわりに濃い水溶液の部分ができて固体が溶けにくくなってしまいます。ガラス棒でかき混ぜると、この濃い部分を固体のまわりから遠ざけ、まだ濃くなっていない部分の水を固体にふれさせることで早く溶かすことができるのです。
 細かな粒のものを使うと早く溶けるのは、同じ重さで比べると、表面積が小さなものほど大きくなるためです。
 左の図のように1の立方体を考えてみます。この立方体の表面積は6です。この立方体を真中から半分に切ると、新しい1の面が2つできます。このように粒を小さくしていくと表面積が増えて、水によくふれるようになるため早く溶けるのです。
 水温を高くすると、同じ量の水に対して、とかせる物質の最大量を増やすことができます。このため、より多くの固体を一度に溶かせるようになります。ただし石灰水を作るときに使う消石灰(水酸化カルシウム)は水温が高くなると溶ける量が減ってしまいます。ですから石灰水を作るときは温度を高くしてはよくありません。
 水の量を増やすと早く溶けるのは、溶かせる物質の量を増やすことができるからです。
 一般に、固体を早く水に溶かすには、温かい水に細かい粒のものを良くかき混ぜて溶かすことになります。

溶解度
 食塩などの固体では水に溶ける量には、限りがあります。ある温度の水100gに溶かすことができる最大量を溶解度と呼んでいます。また、水に溶けるだけ溶かして、これ以上濃くならなくなるまで溶かした水溶液を飽和水溶液と呼んでいます。食塩とほう酸の各温度による溶解度は次の表のようなものです。
  0℃ 20℃ 40℃ 60℃ 80℃ 100℃
食 塩 35.6 35.8 36.3 37.1 38.0 39.3
ほう酸 2.8 4.9 8.9 14.9 23.5 38.0
 左の表とグラフから、食塩は温度が変化してもあまり溶ける量は変化しませんが、ほう酸の場合は溶ける量が大きく変化します。
 ですから、早くとかしたいとき、ほう酸の場合は水温を高くしてやると非常に早く溶けるようになることが予想できます。
 また、ほう酸はこのように温度によって溶解度が大きく変化するため、温度の高い濃い水溶液を作り、その温度を下げることでたくさんの結晶を得ることができます。例えば、100℃の水100gに食塩とほう酸を溶けるだけ溶かしたものを、20℃まで温度を下げると、
 食塩では 39.3−35.8=3.5g
 ほう酸では 38.0−4.9=34.1g
それぞれ溶けきれなくなった固体が結晶となって現れてきます。このように、ほう酸では温度変化によって多くの結晶を得ることができますが、食塩ではそれほど結晶を取り出すことはできません。ですから食塩水の場合、結晶を取り出すには水を蒸発させることで対応します。
 ちょっと読み物:塩田による製塩

気体の溶解度
 気体が水に溶けるときは、水温が低いほどたくさんの気体が水に溶けます。ですから、ビンや缶に詰められた炭酸飲料が温かいとたくさんの炭酸のあわ(二酸化炭素のあわ)が発生します。逆に、良く冷やされた炭酸飲料ではあわはほとんど発生せず、口の中にふくむと、口の中で温められたくさんのあわができ、そして弾けて、あの清涼感(せいりょうかん)が感じられます。
 塩酸などの水溶液でも、一度この水溶液を沸騰させると、水の中に溶けていた塩化水素は気体となって出て行ってしまいますから、後にはただの水が残ります。
 このように、水温が高くなると、水に溶け込む気体が減ることは金魚などを飼っている水槽の中でも起こります。そのため、水槽は直射日光があたらない明るいところに置くことが推奨されています。それは、水温が高くなると、水に溶ける酸素の量が減り、中の魚の呼吸が困難になるからです。このような状態になると、魚は水面で口をパクパクとさせ、必死で水に酸素を溶け込ませて呼吸しようとします。

  

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