地震による地層の変化
 地震によって地層が変化する・・・地層の変化が地震の形で現れる・・・まあ、卵が先か鶏が先かの議論のようになってしまいそうですが、地層に加わった力が地層をひずませ、そのひずみの限界がやってきたときに地震が起こり大きな変化が地層に現れることになるというわけです。
 さて、この地層の変化ですが、ちょうどお菓子のウエハースのように積み重なった構造の地層に力を加えて2つに折ることを考えてみましょう。



 右のようなやつの両端をつまみ、真ん中から2つに折り曲げてやればよいでしょう。このように力を加えると、はじめは何の変化もありませんが、少しずつ力を大きくしていくと、やがて小さなかけらが出てくるのが観察できます。変化のきざしが現れてきているのです。
 大地の変化であれば、これは小さな地震に相当するものでしょう。そして、ウエハースは軽い音を立てて2つに割れてしまいます。これが断層ができ、大地が動く、大きな地震に相当します。
 また、大地は少しずつ力を加えると曲がっていったりもします。このことから考えると、ウエハースよりは七五三の千歳飴の方が似ているかもしれません。あの棒状の飴はゆっくりと力を加えると曲がっていきます。しかし、急激な力を加えると折れてしまいますからね。
 さて、大地の変化を引き起こす力の源は何でしょう?これは、地下の温度が高いマントルと呼ばれている部分の動きとされています。
 地球の内部にあり、体積のおよそ83%を占めるマントルと呼ばれる部分は固体のようでもあり液体のようでもあるものです。これは1000℃くらいに熱せられた岩石がやわらかくなったもので、その性質は先ほどの飴に似たものです。このマントルは固体のようなものですが、1年間におよそ10cmくらいの割合で動いていると考えられています。この動きは、液体や気体の中で熱が伝わるときの対流と同じものです。
  これによって、マントルの上に乗った我々が立つ地面は大きな力を受けるというわけです。

   さて、地震による地層の変化には、断層があります。断層は右の図のように力を受けて順序良く積み重なっていた地層に力が働くことでできます。
 このような断層は、地表に現れると地面の高さの差として見ることができます。1891年10月28日に美濃・尾張地方を襲った濃尾地震のものが有名です。この地震は日本で内陸部で起こった地震としては記録に残る最大規模のもので福井県南部から岐阜県根尾谷を通り愛知県犬山東方まで総延長約80kmにおよぶ根尾谷断層と呼ばれる大断層が地表にあらわれました。この名前のもとになった岐阜県本巣郡根尾村水鳥では、上下方向に6m水平方向には4mのずれが生じました。この断層は現在特別天然記念物として指定されています。
 断層を地下で見たものとしては、は1930年の北伊豆地震でできた水平方向におよそ2.5m動いた断層です。この断層により、当時建設途中であった丹那トンネルの先端部が動き失われました。ここでは岩石がこすれ鏡のような光沢をもった断層面が観察されたそうです。
 このほか、地震によって起こる地下の変化は、先に述べたようなにずれるだけでなく、地層を破壊し、堆積岩の地層を小石に砕いてしまう場合もあります。このようなものを破砕帯と呼んでいます。こういった地層の破壊があったところでは、この細かく砕かれた石などが長い年月のうちに浸食作用などで失われ、谷を作ったりしていることもあります。
 近年、地震災害で大きく取り上げられる液状化現象というものもあります。この液状化現象は水を含んだ土砂が地震の振動で液体のように振舞うものです。水を含んだ泥の玉を作って表面を軽くたたいていると水がしみだしてきてだんだんやわらかくなるのを見ることができます。これと同じように地震の振動が硬いと思われている大地を水のようにしてしまうのです。
 これによって、建物の地下室が浮かび上がり建物をひっくり返したり、下水管を浮かび上がらせてマンホールが道路の上に突き出したり・・・そういった被害を引き起こします。 

  

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