理数教育の危機?

 理数の落日なんってJRに広告を出している塾があります。ちょっと気になって見るわけです。どんな文面だったのやら・・・以前は、日本の子どもたちが得意としていた理科や算数・数学。でも小中学生の学力は国際比較で着実に下がっている。理数力は論理的思考の基礎であるから、しっかりと身につけたい・・・確か、こんな内容だったような?

理数力ってなんだろう?ってちょっと気になって書き始めたというわけです。理科・算数・数学を操るには、かなり高度な言語能力が要求されます。

感情的な言葉ではなく、論理的な内容です。いわゆる国語力とは異なる言語能力では?なんって、文学を志す人には無用の長物のような、論理的な言語体系を備えた日本語の能力が必要なようです。

文系でも、その論理的な言語能力を身につけなければならない学科があります。それは、法学に必要な能力です。しかし、法で使われる言語は・・・日本語をベースとした、自然言語というにはちょっとかけ離れた体系を有する言語のような感じです。

まあ、算数や理科を教えていると、日常会話や物語文には無縁な日本語を操って問題を作成していきます。かなり厳密な約束事をベースとする言語ですね。

理数能力の低下・・・どうも、日本人がかつて、厳密な内容を表すために多用した漢文をベースとした言語の体系が崩れ・消滅の危機に瀕し、それが理数の落日を招いたような気がします。

日本語ではできないこと・・・山本七平氏の著書で・・・多分・・・「戦争」があげられていました。そのため、兵隊語なる合成言語?が作られたとか・・・前方より女らしき人影見ゆ・・・「前方より」は事実、「女らしき人影」観測者の判断・・・つまり、戦争のようなことでは事実と判断を厳密に分けなければならないというような例があったような・・・近頃、蔵書の所在がよくわからないもので上手く引用できないのがちょっと残念・・・

まあ、日本語は非常にあいまいな言語であることに間違いありません。ですから、厳密性を要求する文になると、とたんに漢語的な用法が多用されるような?お役所言葉も厳密さを要求され、妙な言質を取られない為の言語体系に他ならないような・・・

しかし、近頃では厳密な言い回しが避けられ、使われなくなったために、それが滅びようとしているようです。

実際、塾でもかつてのような割合の三用法の厳密な運用による解法より、問題文をなんとなく読んで、これはXXという方法で解く!ってな感じになりつつあるようです。

厳密な文章解析の結果による解法ではなく、技による解法が一般化しているような気がします。気のせいなら良いのですが・・・

まあ、このような言語社会の中で、理数力を養うための言語教育など流行らないのかもしれません。

まあ、バイトの学生を中心とした塾で、どのようなレベルの言語教育がなされるのか・・・それ自体が疑問ですがね。さて、日本の理数教育はどこへ行くのでしょうか?ちょっと気になります。

2007.07.25 夏期講習が始まった!

  

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