浮力について

 浮力について興味深い質問がやってきました。それは「浮力は、上にある水の量が関係するのでしょうか??物体の下の水の量は関係ないのでしょうか??」これって本質的な問いですからちょっと説明をしましょう。
 浮力は圧力の差によって生じます。右の図ですね。上面と下面の水深の差が10cmあれば1平方センチメートルあたり10gfの圧力の差が生じます。この圧力の差が浮力を生み出しています。
 こう考えると、最初の問いは、物体の上面から上にある水が物体を押し下げ、物体の下面に接している水が物体を押しあげている。したがって、物体の高さによる圧力の差が関係あることになります。ですから、物体の一番下より上にある水の量に関係があるとは言えそうです。
 特に、この物体が水面に浮かんでいる場合には確実にいえますね。
 しかし、この物体が完全に水没している状態であれば水中で占める位置が変化しても、物体に働く浮力は変わらないことになります。上面と下面の深さの差で生じるわけですから・・・差は一定。
 さて、下にある水は無駄なのか?全然関係ないのか?これはちょっと問題です。下に水がなければ浮力は働きません。水が圧力を伝えているわけですからね。たとえば、上の図の物体を、強く容器の底に押し付けて物体と容器の間に水が入らないようにしたらどうなるか?
 この場合は浮力は働かなくなります。物体を押し上げる圧力が生じなくなっていますからね。
 これは、潜水艦が長時間海底に密着してとどまっていたときに現実に起こります。戦記などでは泥の吸着力で浮上が困難になるという感じの説明がありますが、水底と一体になって浮力が働かない状態になってしまったことを意味します。
 浮力が働くためには、圧力を伝える水が下になければなりません。したがって、下にある水の量が問題になるのではなく、下に水があることが必要なだけです。
 圧力を考える上では、物体に働く圧力が最も大きな物体の下面を基準に考える必要があるわけです。
 水中にある物体の一番下の部分を基準に華南が得るのなら、物体に働く浮力は物体の一番下の面から上の水の量に関係あり、下に圧力を伝える水がなければ浮力は働かないことになります。
 これは、夏休みの自由研究にはよい題材のような気がします。立方体のゴムの塊かなにか下に水が入り込まないようなものをプールに沈め、一晩くらい置いてから、それを引っ張り上げるときに水が下にないものは、底と一体になって浮力が働いていなかったことを確認するとか・・・
 なかなか、本質的な内容を含む興味深い質問でした。 

  

inserted by FC2 system