水溶液の性質 水溶液の中和
酸性・中性・アルカリ性
 実験で使う薬品ではやってはいけないことですが、酸性とは食酢や果汁のようなすっぱい味のするものをいいます。そして、塩酸など強い酸では金属を溶かし、水素を発生させるのが酸性の液に共通した特長です。また、アルカリ性のものは、草木を燃やしたあとにできる灰を水に溶かした灰汁(あく)のような苦い味のするもので、酸性の液と混ぜると、お互いの性質を打ち消しあいます。酸性・アルカリ性どちらの水溶液も電気を通します。
 中性の水溶液には、酸性・アルカリ性の水溶液が反応してできた電気を通す水溶液と、砂糖水やアルコール水のような電気を通さない水溶液があります。
酸性を示す水溶液 中性を示す水溶液 アルカリ性を示す水溶液
気体が溶けたもの ・塩酸
・炭酸水
液体が溶けたもの ・お酢
固体が溶けたもの ・ほう酸水
電気を通すもの ・食塩水
電気を通さないもの ・砂糖水
・アルコール水
気体が溶けたもの ・アンモニア水
固体が溶けたもの ・石灰水
・水酸化ナトリウム水溶液
・重曹水(じゅうそうすい)
水溶液の中和
 酸性の液とアルカリ性の水溶液を混ぜると、前とは違った性質の水溶液ができてきます。例えば、ある濃さの水酸化ナトリウム水溶液30に塩酸20を加えると完全に中和したとします。このように、混ぜたとき中性になることを完全中和と呼んでいます。完全中和はある濃さの水溶液の間ではこの割合は常に成り立ちます。
 ですから、この水酸化ナトリウム水溶液75を完全に中和するには、次のように一定の割合ですから比例式を立てると簡単です。
水酸化ナトリウム水溶液30と塩酸20で完全に中和することが条件からわかります。75を完全に中和するには50の塩酸が必要であることがわかります。
 中和に必要な水溶液の量は、水に溶けている物質の量で決まります。ある濃さの水酸化ナトリウム水溶液30に水を加えて60にしても、60にふくまれる水酸化ナトリウムの量は変わりません。ですから、この2倍にうすめた水酸化ナトリウム水溶液を完全に中和するのに必要な塩酸の量は20となります。
 さて、このようにうすめた酸化ナトリウム水溶液75を完全に中和するのに必要な塩酸は何か?となると・・・
うすめた水酸化ナトリウム水溶液60と塩酸20と完全に中和することがわかっていますから、この比率を使うことで計算します。

中和と新しくできる物質の関係
 決まった量の水酸化ナトリウム水溶液に、塩酸を加え、水を蒸発させるとあとには白い固体が残ります。この固体は、混ぜてできた水溶液が、アルカリ性のときは水酸化ナトリウムと食塩が残ります。しかし、中性になったときと酸性になったときは、食塩だけが残ります。これは、水酸化ナトリウムがすべて使われて食塩に変化したからです。そして、酸性になったときでは、水を蒸発させるときに、酸性を示していた塩酸の成分である塩化水素が蒸発したからです。 
 左の図では、完全に中和するまでは食塩が一定の割合で増加するとともに、水酸化ナトリウムが減少していくことが示されているのがわかります。
 ですから完全に中和する量と、はじめの水酸化ナトリウムの量がわかれば、左の図の黄色い棒で示した水酸化ナトリウムの量を相似で求めることができます。同様に、このときできている食塩の量も、完全に中和するときの加えた塩酸の量と、そのときできた食塩の量の比から相似を利用して求めることができます。
 決まった量の塩酸に、水酸化ナトリウム水溶液を加え、水を蒸発させるとあとに白い固体が残ります。水酸化ナトリウム水溶液を加えても、酸性の水溶液ができるときは、水を蒸発させるとあとには食塩だけが残ります。完全に中性になったときも、食塩だけがあとに残ります。そして、アルカリ性になると、食塩の増加は止り、中和されずに残った水酸化ナトリウムが一定の割合で(加えた分だけ)増加します。
完全に中和するまで一定の割合で食塩の量は増加していきます。しかし、完全に中和すると、塩酸はなくなるので、加えた水酸化ナトリウム水溶液にふくまれる水酸化ナトリウムが水を蒸発させるとあとに残ります。これが塩酸を加えるときと違う点です。


リトマス紙
 水溶液が酸性であるかアルカリ性であるかを簡単に見分けるには、リトマス紙を使います。
 リトマス紙は、リトマスゴケという地中海沿岸や西アフリカの海岸に自生するコケの仲間の植物から取られた色素をアルコールにとかし、これに、少量のアンモニア水を加えて青くしたものと、少量の塩酸を加えて赤くしたものを、ろ紙に染み込ませて作ったものです。
 
 

   

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